常設展示室/寺内古代寺院跡の部屋

寺内遺跡第2次範囲確認調査
1996年2月

調査地区: 熊谷市板井地内 調査面積: 約600u
調査期間: 平成8年年2月6日〜3月29日 調査機関: 江南町教育委員会
調査原因: 範囲確認

検出遺構: 道路跡・溝跡・ピット 特記事項: 寺内廃寺跡に続くと推定される、道路跡およびその側溝を確認。
所 見: 今回の調査は、平安時代の古代寺院跡である寺内古代寺院跡の南側の寺院地の確認および参道と推定される道路跡の延長を確認する目的で行いました。寺跡の推定地より南へ約250mの地点にあたりますが、参道の延長部と推定される溝および道路跡が確認されました。
 溝跡からは、火山灰が検出され、平成13年度に火山灰のテフラ同定を実施しました。同定の結果は、道路の側溝と推定される南北方向の溝で検出された火山灰は、天明3年(1783年)噴火の浅間A、この側溝から分岐する東西方向の溝からは、天仁1年(1108年)の浅間Bの火山灰と分析されました。
 同じ溝で、異なる時期の火山灰が検出されており、この解釈が難しいところです。東西溝で検出された浅間Bは、寺内廃寺の廃絶時期に近く、寺院が機能していた時期には、この溝も機能していた事がうかがえます。もう一方の道路の側溝と推測される溝からは、浅間Aという江戸時代の火山灰が検出されています。あくまで想定ですが、この南北方向の溝および道路跡は、寺院の廃絶後も機能しており、側溝は、何度か溝さらいされ、最終的に機能しなくなり埋まりはじめたのが天明の時期であったのではないでしょうか。
 東西溝が寺跡とともに機能しなくなった点、および道路の側溝がその後も機能し続けた点、今後検討を要する問題であると考えます。

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(1)第1・2調査地点航空写真
道路左側(西)が第1調査地点で、右側の匚字形をしているのが第2調査地点。
1996年3月21日ラジコンヘリで南より撮影撮影。
  (2)第1調査地点航空写真
1996年3月21日、東よりラジコンヘリで撮影。
手前の草むらが、1997年の中島遺跡第1次調査地点。
(3)第1調査地点垂直写真
1996年3月21日、上空よりラジコンヘリで撮影。
  (4)第3調査地点垂直写真
手前の道路(ゴルフ場の外周道路)と池(釣堀の人工池)のトレンチが第3調査地点。
1996年3月21日撮影。

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