常設展示室/寺内古代寺院跡の部屋

寺内古代寺院跡とは
 平成3年9月より平成4年12月にかけて、埼玉県江南町教育委員会および江南町千代(せんだい)遺跡群発掘調査会によって調査された、熊谷市柴地内に所在する古代寺院跡です。
 8世紀半ばに創建され、10世紀半ばまで存続したと推定されるこの古代寺院の正式な名称(法号)は、伝わっていませんが、「花寺」と墨書された土器が出土していることから、通称で「花寺」と呼んでいます。
 調査の結果、この寺院跡は、上面幅6m、下面幅3m、深さ0.4〜1.2mの溝で、北辺570m、東辺170m、西辺200m(約129000u)にもわたる広大な面積を有していたことが判明しています。
 この区画の中に、さらに寺の中心施設である建物伽藍(がらん)を区画した溝や築地(ついじ)跡が、南北230m、東西165mで区画されており、基壇(きだん)建物跡が4箇所確認されており、金堂・講堂・中門・塔の跡ではないかと推定されています。
幸いなことに、現在この「花寺」は、その中心伽藍部分は町の史跡に指定され、その周囲も大半が緑地として保存されています。古代各地に建立された国分寺の規模に匹敵するこの地方寺院は、遺跡と文献との結びつきや、郡郷の問題、地方の古代における寺院の構造、地方仏教文化の実態といった古代地方史研究の中に、新たな資料を加える重要な遺跡と考えられます。
全体図
全体図
寺内古代寺院跡想像図

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