常設展示室/文化財の部屋

板碑



善光寺三尊を描いた板碑(1)


所在地:妻沼歓喜院前
寸法:高さ178p、幅59p、厚さ13.0p

 頂部は水平で、表面は深く彫り込んだ光背の蓮台に阿弥陀三尊(中央の本尊が阿弥陀如来、左右に観音菩薩、勢至菩薩)を半肉彫りとし、その下に格狭間(こうざま:台脚の側面にとりつけられた装飾的な曲線文様)のある台座と、上部に天蓋が付けられています。
この板碑は、
(1)一つの大きな舟形の光背が三尊をおおう。
(2)七体の化仏(けぶつ:光背にある七つの仏様)が表現される。
(3)本尊の右手が施無畏印、左手が刀印という印相(仏の手の形)を示す。
(4)両菩薩が、宝冠をかぶり、両手を胸元にあわせる梵篋印という印相を示す。
(5)臼型台座と呼ばれる餅つき臼に似た台座である。
などの特徴を持ち、長野善光寺の三尊を模して造られたものです。
 このように長野善光寺の仏を模して造られた「善光寺式三尊」の仏像は、鎌倉時代以降、各地で数多く造られるようになりますが、「善光寺式三尊」を板碑で表現したものは、全国でも数基しかなく、そのほとんどが、熊谷北部・深谷市東部に存在します。
 なお、この板碑は、製作年代は明確ではありませんが、鎌倉時代中期と推定されています。裏面に釈迦如来(バク)・普賢(アン)・文殊(マン)の種子を刻んでいて、表面との関係は明らかではありませんが、他に類例がありません。昭和30年(1955)まで妻沼小学校の校庭にあったのを現在他に移転したものです。
 昭和40年に埼玉県指定文化財となりました。


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