常設展示室/文化財の部屋

板碑




弘安銘曼陀羅板石塔婆


 本板石塔婆は、 熊谷市樋春地内の平山家に所在していたもので、昭和35年江南南小学校に寄贈され、現在熊谷市教育委員会において保有している資料です。
 現存高は、160.0cmで、頭部および身部の一部を欠損する。横幅は上部で42.0cm、下部で43.0cm、厚みは上部で4.0cm、下部で6.0cm、基部は台形を呈し、長さ22.0cmを測ります。材質は緑泥片岩を用い、側面はきれいに面取りされるが、やや風化が進んでいます。
 主尊は、異体荘厳梵字による阿弥陀如来が薬研彫で刻まれ、連座の下には大日如来を中心とする金剛界曼荼羅が配されています。
銘文は草書体により、

右志者為比丘尼聖阿
     丙
弘安九季 夏間日
    戊
■■■佛現當二世成就

 と刻まれています。
したがって、本板石塔婆は、弘安九年(1286)に比丘尼聖阿により、現世の安穏と死後の成仏を願って造立された供養塔であることが認められます。
曼荼羅を配した板石塔婆は県内でも例が少なく、さらに造立者・造立年・造立趣旨が判明しており、当時の信仰状況がうかがえる貴重な資料です。
平成9年1月に江南町指定文化財に指定されています。


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