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国指定重要文化財 建造物
貴惣門(きそうもん)
貴惣門の写真
所在地 妻沼1511
所有者(管理者) 歓喜院
貴惣門は妻沼聖天山の参道の山門として建てられた重厚な八脚門であり、桁行9.2m、梁行5.2m、棟高13.3mの規模を誇る国指定重要文化財の建造物です。構造の中で特徴的なのは、側面(妻側)に破風の屋根を三つ重ねた類例の少ない特異な形式であることです。屋根には瓦棒銅板葺(かわらぼうどうばんぶき)が用いられています。
貴惣門の建立は、歓喜院聖天堂の大工棟梁であった林兵庫正清(はやしひょうごまさきよ)が発案、寛保(かんぽう)2年(1742)に利根川大洪水の復旧工事のために妻沼を訪ねた岩国(現在の山口県)の作事棟梁であった長谷川重右衛門が設計したことでも知られています。しかし、その当時は建設する余力が無く、約100年後の嘉永(かえい)4年(1851)に、正清の子孫である林正道が棟梁となり設計より規模を大きくした上で竣工しました。彫刻は聖天堂に見るような極めて秀逸な技術を継承した上州花輪村(現在の群馬県みどり市)の彫物師、石原常八らが担当しました。
総欅造(そうけやきづくり)の建物全体には多様な技法を用いた細やかな彫刻が飾られ、江戸末期の造形技術の(すい)を感じることができます。聖天堂の建立以降の時代、社寺建築の彫刻に対する鮮やかな着色が(ひか)えられる傾向があり、それに代わり、より立体性や細密さを重視した彫刻技法へと進化を遂げました。貴惣門はその最高水準の代表例として全国的に高い評価を得ています。また、それぞれの彫刻には寄進者名が刻まれていることから、聖天堂と同様に民衆信仰に基づき建立された建造物であることが分かります。
指定年月日 昭和47年3月28日、平成14年5月23日