用語解説集

あ行


【板碑】いたび
石製の塔婆の一種で、供養塔。板石塔婆ともいう。板状の石材(その多くは緑泥片岩)を使い、頂部を三角形にし、その下段に2段の切り込みを加える。身部には、種子・真言・仏像などが彫られる。最古の板碑は、嘉禄3年(1277)銘のもので、熊谷市所有。


【印相】いんそう
諸仏の示す手指の形。

か行


【瓦塔】がとう
奈良時代・平安時代に小型仏教施設の中に納められた五重または七重の木造建築の塔を模した焼物製の塔。


【瓦堂】がどう
奈良時代・平安時代に小型仏教施設の中に納められた、寺院の金堂を模した焼物製の建物。


【棺床面】かんしょうめん
石室内で死者を安置した棺を置いた床面のこと。


【基壇】きだん
建物をその上に建てるために土砂を少量ずつ盛って固めてつくった基礎となる壇。基壇の側面は、石積または瓦積の垂直壁面によって保護される。


【蓋】きぬがさ
儀式やマツリに際して、貴人にかざした傘のこと。


【結跏趺坐】けっかふざ
両足を交差させて組み、足の甲をそれぞれ反対の股の上にのせて座る坐法。


【偈頌】げじゅ
経などの中に、韻文の形で仏徳をたたえて教理を述べたもの。


【玄室】げんしつ
古墳の内部施設で、横穴式石室の奥の部屋のこと。遺体を安置する部屋。


【光背】こうはい
仏身から発せられる光。仏像荘厳の一種で、像の背後に立てるので俗に後光ともいう。


【金剛界】こんごうかい
大日如来を智徳の方面から示した部門。

さ行


【翳】さしば
儀式用の調度の一種。円盤形の下端に細い円筒を付けたもの。


【羨道】せんどう
横穴式石室の手前を構成する通路的部分のこと。


【島田髷】しまだまげ
江戸時代の女性の髪の結い方の一つ。主に未婚の女性が結い、婚礼において結う風習となっていた。


【朱印状】しゅいんじょう
花押の代わりに朱印を押した公文書。江戸時代には将軍に限って発行された。


【正倉】しょうそう
税として納められた、主に稲を収納保管した公的な倉庫。正倉が建ち並ぶ敷地は、溝などで区画され、区画された敷地全体を正倉院と呼ぶ。


【身光】しんこう
仏の身部から発せられる光(光背)。


【須恵器】すえき
古墳時代以降に製作された、灰褐色の陶質土器の総称。登窯によって1000度以上の還元状態で焼き上げた硬質の焼物。


【石製模造品】せきせいもぞうひん
石製模造品とは、実用された器物や生き物を元に、石で小型に模造したもので、古墳時代に祭祀具となり、古墳の副葬品として現れ、やがて祭祀遺跡からも出土するようになった。


【曹司】ぞうし
官庁内に設けられた官吏・女官などの部屋・建物。


【塑像】そぞう
古代における仏像の製作技法の一つ。木芯にわらなどの繊維を巻き、そのうえにすさの入った粘土または漆喰を塗り重ねて成形したもので、表面に彩色を加える場合もある。日本のような湿潤地帯では、木彫が仏像の製作に適しており、破損しやすい塑像は、その後日本ではあまり発達しなかった。

た行


【大領】たいりょう
古代における郡の長官のこと。


【館】たち
国司などが巡行してきた時などに宿泊する施設で、国司をもてなす饗宴も行われた。


【田舞い】たまい
日本の古代舞踊の一つ。五穀の豊穣を願って舞ったもの。


【鞆】とも
半月形の袋状に作った革製品で、弓を引く人の左の手頸に付け、弦の衝撃を防ぐもの。


【壇越】だんおつ
仏教用語で施主のこと。


【追善】ついぜん
死者の冥福を祈るため、遺族などが仏事をおこなうこと。


【坪付】つぼつけ
古代・中世の条里制における地籍の所在などを示した帳簿。


【転法輪印】てんぽうりんいん
釈迦が、成道後鹿野園に五比丘を訪ね、初めて法を説いた時の印相(説法印)。


【頭光】とうこう
仏の頭から発せられる光(光背)。

な行


【棗玉】なつめだま 扁球形の玉で、ナツメの実に形が似ているところから付けられた。古墳時代に多く用いられた装身具で、硬玉、滑石・琥珀・水晶・ガラス製のものがある。

は行


【土師器】はじき
古墳時代から平安時代にかけて製作された赤褐色の素焼の土器の総称で、『延喜式』によったもの。『日本書紀』雄略天皇17年の条に、宮廷の食器を作る部民を贄土師部(にえのはじべ)と呼んだことが記されている。


【埴】はにつち
黄赤色粘土のこと。


【風鐸】ふうたく
仏堂や塔などの軒の四隅に吊り下げた鐘形の鈴。

ま行


【丸玉】まるだま
球形で、中央に穴をあけた飾玉。弥生時代にガラス製の丸玉があり、古墳時代になると、ガラス・碧玉・瑠璃・水晶・土製の丸玉がある。小さいものは小玉・ビーズ玉とも呼ばれるが、相対的なもので、一定の基準は無い。


【曼荼羅】まんだら
諸尊の悟りの世界を表現した図。


【水帳】 みずちょう
検地帳・人別帳のこと。御図帳の当て字。


【美豆良】みずら
古墳時代男性の結髪の名称。長く伸ばした頭髪を、頭上で左右に分けて、両耳の付近でたばね、垂れた髪を輪に巻き、それを押しつぶして、紐で結んだもの。結んだ下端が肩に垂れたものを下美豆良といい、正装した像に多く認められます。耳のあたりに小さくまとめたものを上美豆良といい、農夫像に多く認められる。


【壬生部】みぶべ
推古朝において、皇子の養育に当たることを目的として設けられた部署。

や行


【薬研彫】やげんぼり
金石に文字などを彫刻する場合に、薬研の形(断面V字状)に彫る彫方。


【靱】ゆき
矢を入れて背に背負う容器。

ら行


【連座】れんざ 開いた蓮の花をかたどった台座。仏像の台座として最も一般的な形式。