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椿森のお仕置場(塩地区)

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今では椿森と呼ばれる場所は草畑になり、ひっそりと草の中に小さな線彫りされたお地蔵様がぼつんと立っています。
昭和10年ころまでは、杉の木がうっそうと茂っていて、昼でも薄暗く気持ちの悪いような場所でした。学校の行き帰りに、子供たちはおっかない場所だと言って気持ち悪がって急いで通った、といいます。
言い伝えによると大きな椿の木があったので椿森と呼んだのだろうといいますが、昔この場所はオショウキバ(お仕置場)だったといわれています。縄で縛られてきた罪人が、ここで首を切られ穴を掘って埋められたといいます。有名な「鈴ガ森の刑場」という場所が東京にありますが、そこと同じような椿森の刑場で、椿の木に縛られて処刑されたのだともいわれています。処刑になった遺体は遺族には渡さず刑場近くに埋める習わしだったといいます。
まだつい近年のこと、この近くの親類の人が神かくしにあって行方不明になってしまいました。困ってオガミヤに見てもらったら、椿森のお地蔵様を拝むように言われました。家族の人はオサゴとオダンゴを持って、早く見つかるようにと言ってこのお地蔵様を拝んだら、しばらくして、いなくなったその人は無事戻ってきたといいます。
また、この場所には、アズキババアが出るといい、あそこを通るとアズキをとぐようなゴシゴシという音がして、アズキババアに隠されてしまうといって、気味悪がってみんなその場を急いで通ったり、近くを通るのを嫌がったといわれていました。
現在は水田が開け、道路も広がり舗装道路となって明るい場所になり、昔のそんな面影はみじんも見られませんが、石碑に刻まれたお地蔵様には、花や線香が今でもときおり供えられています。
椿森のお仕置場付近にたつお地蔵様の写真