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悪魔除け〈コロリ除け〉(樋春)

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今でも伝染病のコレラといえば恐ろしい病気ですが、衛生状態も良くなり予防法や薬もあり、めったにコレラにかかるということはありません。昔は大変こわい病気でこの病気にかかるとコロリと死んでしまうなどと言って、コロリなどと呼んでいました。
このコロリが流行したことがあり、このコロリ除けとして、大きな数珠を村中が出て辻々でその数珠を回しました。その輪の真中には鉦を叩いて、お経を唱える人が入るというもので毎月行っていたそうです。各家では仏様の掛軸やお札を飾って厄病除けをしたといいます。
また、数珠回しの最後には大人達が家の中に入り、子供たちが外の庭に出て、一本の数珠の引っ張り合いをしました。たいがい外の子供の方が勝ったが、外に引っ張り出された数珠を見て、村の人たちはこれで悪魔が外に出たと言って喜んだそうです。
また、ジフテリア除けといって、赤い紙に馬の字を三つ書き、家の入口に貼ったともいいます。病気の原因が科学的に解明されなかった時代には、病気は全て悪霊のなせるわざと考えられ、様々なまじないや祈祷を行い、健康を祈願した様子がうかがえます。