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コラム35 古代との遭遇14
        ー墨書土器@ー
 [登録:2014年04月25日/掲載:2014年8月12日]
 
                                   
 『墨書土器@』

 発掘調査では土器や瓦が出土しますが、中には文字や記号がみられるものがあります。ヘラなどで刻まれたものを刻書、墨や朱で書かれたものを墨書、焼き上げ前にハンコを押したものを押印・刻印などと呼びます。

今回は、別府地内の在家遺跡で見つかった奈良・平安時代の土師器や須恵器の墨書について連載してご紹介します。墨書・刻書土器は県内でおよそ4,900点確認され、当市では1,300点を超え、県内でも有数の出土状況といえます。

文字が書かれた意味は、色々と考えられますが、主に場所や所有を示すもの、祭祀行為に関わるものなどとされています。文字自体がもつ意味は色々と考えられます。何故なら、一文字または二文字程度のものがほとんどであり、様々な憶測が可能だからです。

また、現在では通常見られない文字なども書かれています。則天文字と呼ばれる特殊な文字は、中国が唐王朝であった時代に国号を周と改めた則天武后により創られた文字ですが、墨書土器に散見されます。このほか独自の字形などもみられバリエーションに富んでいます。

いずれにしても、墨書土器は在地における識字層の存在を示しています。このことは、律令国家の形成と運営に深く関わっています。画像の拡大した文字は色調補正等をかけて見やすくしてあります。)

 
在家遺跡出土墨書土器

            参考文献
              2014年 「文化財コラム 古代との遭遇 第14話」『BUNKAZAI情報』第14号
                     熊谷市立江南文化財センター